高齢者は慢性疾患を複数もつ傾向が高く、服用する薬の種類が多かったり、薬同士の影響や副作用のリスクが高かったりするため、不安を抱える医療従事者もいます。そんな医療従事者のために、日本老年医学会が『高齢者に対する適切な医療提供の指針』を発表しました。高齢者患者に対して適切な対応ができるよう、医療現場で考慮するべき項目を7つまとめています。
1点目は「高齢者の多病と多様性」の理解であり、高齢者の病状や生活機能、生活環境をトータルで把握することが重要であり、特に個人差には気を配るべき旨がまとめられています。2点目は「QOL維持・向上を目指したケア」であり、慢性疾患や老年症候群の患者に対し、生活機能の維持や症状の緩和によってQOLの維持・向上を目指すことが重要であると述べられています。3点目は「生活の場に則した医療提供」で、患者の生活にとって生活環境が重要であることを理解し、医療環境とのギャップに留意することが求められています。
4点目は「高齢者に対する薬物療法の基本的な考え方」で、医療従事者は薬物療法に関わる身体的負担や副作用の理解・実践が必要です。5点目は「患者の意思決定を支援」、6点目は「家族などの介護者もケアの対象に」、7点目は「患者本人の視点に立ったチーム医療」であり、患者の気持ちを尊重しながら、家族や他の関係者とともに連携して医療に取り組んでいくことが望まれています。このようなガイドラインに基づくことで、高齢者患者への対応が一層スムーズになると言えます。